列車で行く旅「カシオペア」は最高です。

旅行に行くのが趣味の人たちは沢山います。その旅行、その旅行で特色が出るものです。

父と一緒に寝台特急カシオペアに乗車するため、岐阜から札幌に飛行機で向かいました。季節は紅葉の深まる秋、9月頃です。電車が大好きだった私は、何気なく手に取ったパンフレットの中に寝台特急のページを見つけ、両親にねだりました。当時は高校3年生で国立大学受験も近づいている中での旅行です。チケットはなかなか取れなく、予約キャンセル待ちが普通でした。父とJRのチケット売り場に行った時もまさかあるとは思いませんでしたが、何と目の前でキャンセルが出たようです。学校の社会見学と重なっていましたが、すぐに申し込むことにしました。

寝台特急カシオペアは札幌が始発です。わたしたちは岐阜県に住んでいたので、まずは飛行機で札幌に向かいます。自分の費用はすべてお小遣いで賄うという我が家の方針がありましたので、札幌で最初に食べたのはセブンイレブンの肉まんです。でも、夜風を感じながら食べた温かい肉まんは格別でした。

翌日に寝台特急に乗車する予定でしたので、夜は北海道名物、ジンギスカンを堪能しました。食べ盛りの頃でしたので、ジンギスカン食べ放題のお店に入り、ひたすら食べていました。淡白な味で初めて食べる食感に感激です。
その後、藻岩山という夜景がきれいな山へ登りましたが、私たちはバスがあることを知らずに札幌駅から5Kmも離れている山に徒歩で歩いていきました。高い山から見る札幌の景色のすごさは言葉で言い表せないぐらい綺麗だったことを今でも覚えています。

 

旅の主役の寝台特急、カシオペア。平成生まれの私は深夜の列車に乗車することは人生で初めてです。カシオペアはすべて個室になっており、部屋に入ると大きな窓から景気を一望できます。だんだんと海に沈む太陽、そして明かりが街を照らす中、線路を走るという体験は、当時の私に衝撃でした。

寝台特急にも関わらず、ほとんど一睡もできませんでした。父も大変興奮していたようで、1時間おきに起きては景色を見て、親子の時間を楽しんでいました。カシオペアの魅力は展望車があること。深夜になるとほとんどのお客は寝てしまい、展望車は静まり返っています。父と一緒に展望車に行き、先頭車両の連結を見たり、旅ノート(列車に置かれている乗客が書く記録ノート)に思い思いのことを書いてきました。ベッドの上から流れゆく駅を見て、勉強詰めだった毎日から解放された瞬間でもあります。同時に北海道大学を見学し、受験の動機づけを得たことも嬉しいことです。

カシオペアの旅も終盤に近付いてきました。上野駅が最終益でしたが、少し寂しく感じたことを覚えています。当時、寝台特急は次々と廃止になっていきました。北斗七星、カシオペア、トワイライトエクスプレス。もう今はすべて廃止になってしまいました。上野駅に到着し、カシオペアを見送った後、街を散策しました。

東京には路面電車があり、それも見ていく計画で、その後は夜行バスで名古屋へ帰る弾丸旅行でした。疲れが強烈に貯まっていたせいか、何度か鼻血を出してしまいました。突然、出血してしまったのでもう大変。慌ててトイレに駆け込みましたが後処理は大変で、服が汚れなかったのだけが不幸中の幸いでした。

おまけに日曜日。東京駅の日曜日は、お店の閉店も早いのです。午後8時にはほとんどシャッターが下りてしまいました。深夜0時発の夜行バスだったので、どうすればいいのか分かりません。人がいっぱいいて座るところもありません。それで持っていたビニールシートを広げて、東京駅のそばで地面に寝そべり、仮眠をとりました。夜行バスがつらかったのは言うまでもありません。でも、今振り返るととてもいい経験をしたと思っています。

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